うなぎの病気の治療と予防




天然鰻には、病原虫、病原菌が付着してます。
水槽内に新たに魚を持ち込むと、一緒に病原菌、病原虫も持ち込んでしまい、それまで何ともなかった水槽内の他の魚にも蔓延させてしまう事が多い。
本水槽に入れる前の予防が最も大事、病気に感染してからての治療方法も紹介していますが、このサイトを見ている人の多くは鰻を釣ってきて食べてやろうと思っている人がほとんどだと思いますので、薬剤を使わない方法も紹介します。

鰻水槽に入れる、水草、自然採取の餌などにも注意が必要です。


【病気】
ウナギの病気は数え切れない程存在しますが、代表的な1部を紹介します。

【白点病】

(症状)
魚の表面に白点が付いて、ザラザラしている、日が経つごとに白点の数が増え、末期になると小麦粉をまぶした様になり、エラなどに付着すると呼吸困難になり、魚が死亡します!

白点病にかかった魚は、激しい痛み、かゆみを感じて、砂、小石などに体を擦り付けたり、突然泳ぎだしたりします、その時に傷ついた箇所から、別の病原菌が入り込んで別の病気が発病する事もあります。


(原因)
淡水域での白点病は、イクチオフチリウスと言う病原虫『虫』です、幼虫は人間の目には見えません、(淡水域、海水域、では病原虫が違うので治療法も違います)、

魚の体、釣り場の水、水草、自然採取のエサなどに付着して、イクチオフチリウスが水槽内に持ち込まれると、それまで健康だった、魚にも寄生します。

イクチオフチリウスのサイクルは、幼虫が浮遊して宿主となる魚を探します、宿主が見つかると寄生して、宿主の養分を吸い成長します、十分成長したら、宿主から離れて、シスト化します、シスト化すると条件が整うまで潜伏し、条件が整うと分裂して幼虫を放出します、魚に取り着いている間は駆除出来ません、体から離れた時と、幼虫が浮遊した時が駆除のタイミングです。
水温27℃以上になると、増殖しませんし、水温が高い事で体から離れる周期も早まるので、治療中は水温を上げる事が望ましい。



『予防』
温度調整(水温27度以上、30℃が望ましい)、居なくなったと思ってもシスト化して水槽内に潜伏しているだけなので、温度は27℃以上を維持してください。
トリートメントタンクで殺菌してから、本水槽に魚を移す。


『治療』

(温度調整+塩水浴)
(温度調整+薬剤治療+塩水浴)
(温度調整+鷹の爪治療)






【ウーディニウム病】
ウーディニウム虫が体に寄生して、黄色い粉状の物が魚体を被う、放置しておくと死亡する。
『飼う時の対策』
手遅れがあるので治療は早めに。
薬剤治療
塩水浴


【カラムナリス病】
細菌感染により発生する。

『ヒレに発症した場合』、ヒレが充血する→ヒレが溶ける→ヒレが全て無くなる。

『口に発症した場合』、口元に炎症をおこす→口先から壊死して口先が無くなる。

『皮膚から感染した場合』、皮膚表面に白い付着物が付き、それが広がって行き、皮膚が壊死しはじめる。

『エラに発症した場合』、エラに白い付着物が付き、それが広がって行きエラが壊死する。







『飼う時の対策』
薬剤治療
塩水浴



【白雲病】

(症状)
白いモヤモヤした膜が魚体をおおいつくして、エラに付着すると呼吸困難を引き起こして死亡する、非常に進行が速いので、直ぐに治療しないと、手遅れになる。

初期は、白い斑点の様な物がヒレなどに付着するが、翌日には、白い綿の様になり魚体を覆い尽くすして、魚も動かないで底でじっとしている。

水温の変化が激しい初春、秋口に多く、釣ってきたばかりで、体に細かい傷が有ったり、急激な水温変化、PHショック、ストレスなどで発病する。

(原因)
繊毛虫キロドネラ、鞭毛虫コスティア、など病原虫が魚の体、ヒレ、エラに寄生して栄養分を吸う事で発病する。
白い雲の様に見える事から、この名が付いたが、白い膜は寄生された魚が分泌する粘液です。




(予防)
温度調整(水温25度以上、30℃が望ましい)
トリートメントタンクで殺菌してから、本水槽に魚を移す。

(治療)
(温度調整+塩水浴)
(温度調整+薬剤治療)


【水カビ病】

傷口から菌が侵入して、カビが生えた様に白いモヤモヤが体の表面、エラなどに付きます、白雲病によく似ている、
体内にも侵入して行き、侵入ヶ所が壊死する。
そのまま悪化すると、全身が綿のようなモヤモヤに覆われて死にます。

この病気は手遅れがあるので、早めに治療をする事。
エラに付くと手遅れで1日〜2日で死にます、

(予防)
温度調整(水温25度以上、30℃が望ましい)
トリートメントタンクで殺菌してから、本水槽に魚を移す。

(治療方法)
(温度調整+塩水浴)
(温度調整+薬剤治療)



【原因不明】

鰻の病気は数種類存在するので、病気の種類を特定出来ない事も多い、
複数の病原菌に感染する事もある。


↑原因不明の病気







【予防方法】

釣ってきた天然ウナギは、目に見えない傷が沢山付いています。
病原菌、寄生虫も沢山付いているので、そのまま本水槽に入れると、病気、寄生虫を本水槽内に入れる事になり、それまで元気だった、魚にも病気を蔓延させてしまう事がある。

【薬剤浴】
本水槽とは別の水槽【トリートメントタンク】にマカライトグリーン、メチレンブルーなどの薬剤と一緒にウナギを入れて病原菌、寄生虫を落とします、
マカライトグリーン、メチレンブルーはペットショップで購入出来ます、割合はパケージにしたがってください。
マカライトグリーンは観賞魚用で食用魚用ではありません、マカライトグリーンを使ったウナギは将来的に食べない方がいいでしょう、発癌性の疑いのある物質、確率は0に近いが国の基準です。

1週間程漬けて、本水槽に移します、本水槽の水も消毒済みの水
(煮沸消毒、一度60度以上にしたのち、常温に戻した水)
(カルキで消毒後、カルキを抜いた水)を入れてください。



【トーリートメントタンク】
トリートメントタンクとは、本水槽とは別の治療用の水槽でバケツなどでも構いません。

釣ってきたウナギをまず、トリートメントタンクにて殺菌してから本水槽に移します。



【治療方法】
魚の病気は、細菌、寄生虫が原因の場合が多く、大体は水温の急激な変化、水質の変化など、魚の体力が低下している時にかかる事が多い、手遅れもあるので早期発見、早期治療が大事。


【薬剤治療
本水槽とは別の治療用の水槽『トリートメントタンク』を用意する
『トリートメントタンク』には、砂、隠れ家、などは入れない、病気感染した魚は、激しい痛み、かゆみで、砂、小石、隠れ家に体を擦りつけようとして、傷つき症状が悪化する事があります、

『トリートメントタンク』にマカライトグリーン、メチレンブルー、などの薬剤を入れて治療します。
割合はパッケージに従ってください。




【塩水浴】

使う塩は、ペットショップで売っている、人口海水が最適ですが、非常に高価です、スーパーなどで売っている塩でも構いません、混ぜ物が入って無い物を選んでください、(あらしお)がおすすめ!!

人工海水の10分の1の値段で購入出来ます、実はこれで海水魚も飼育出来ます。!(^^)!



トリートメントタンク内で作業してください。
飼育水の、約1%〜3%の塩を水に溶かします、飼育水の計り方は、水槽の高さ×横幅×奥行−1000=?gです。
水10gであれば、塩100gが1% 塩300gが3%です。


ペットショップでは、一目で塩分濃度が分かる、比重計なども売っています。


↑海水濃度が分かる比重計、海水熱帯魚店で販売されてます。


海の塩分濃度は3%なので、これ以上濃いとウナギにダメージがあります、ウナギ以外の淡水魚ならば、1%程にしてください。

病気の種類によりますが、温度調整、薬剤治療を同時に行ったりします!

【注意1】一度に塩分濃度を上げるのでは無く2、3回に分けて少しずつ塩分濃度を上げて行く事!
【注意2】塩水では、水に溶ける酸素の量が淡水時の80%位に落ちますのでエアーをかけてください。


【鷹の爪療法】
民間療法で薬剤など使いたくない時に有効。

10gの水に対して鷹の爪(唐辛子)1本の割合です、刻んで種子を取り除き、ガーゼ、コーヒーフィルター、などにくるみ、水槽に入れておくだけ、唐辛子のカプサイシンと言う物質が病原虫を殺すとされています、白点病、白雲病、水カビ病に効果がありますが、初期の段階に効きます、重傷患者には効果が薄いようです。



鷹の爪(唐辛子)は、輪切りに刻んで、効果を発揮します、バラバラにならない様にガーゼ、コーヒーフィルター、などにくるむ!
100円ショップなどで、最初から輪切りになっている物が販売されています。





【温度調整】

病気の種類によりますが、病原菌、病原虫の中には、低温を好む種類が多く、高温になると活動を停止したり、死滅したりします、ウナギは比較的、温度が高くても生きていられるので、治療中はサーモヒーターで水温を上げておくと効果的、飼育中も水温を上げておくと病気予防になります。



温度調整をする時は、サーモヒーターでゆっくりと温度を上げて行きます、急激に温度を上げると魚にダメージが掛かるので『1日に5度以上は変化させ無い事』

ウナギ飼育は26度〜32度が適温

ウナギを【トリートメントタンク】で治療している最中は、本水槽の水温をサーモヒーターの設定温度MAXにして、病原菌、病原虫を死滅しておく。
使用した道具は全て、煮沸消毒してください。









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